歯が抜けてしまった後に、治療法を選択するのも重要ですが、その前に歯を抜けたままにしておかないということがとても重要です。
歯を抜いてそのままにしておいても、すぐに痛みが出るわけでも、腫れるわけでもありませんが
大きく分けて3つの危険性があります。
それはすぐに起こるものではありませんが、時間をかけて、大きなトラブルへとなる可能性が高いのです。
歯は1本1本に役割があり、それぞれの機能を果たすことで全体が機能するようになっています。
ですから、歯を無くなったままにしておくことで全体のバランスが崩れてくることになってしまうのです。
3つの危険性

機能面への危険性

審美面への危険性

生活面への危険性


①抜けた歯と咬み合っていた歯が抜けた歯のスペースに伸びて出てくる(対合歯の挺出)
失った歯の反対側の歯は、かみ合う歯がないので、徐々に伸びてしまいます。
挺出前

失った歯のまわりの歯が空いたスペースに移動しはじめます。
挺出後

歯の数が減ることにより、残っている歯が噛む力を受け止める負担が増えます。そのことにより、残っている歯の寿命も縮めてしまします。
②抜けた歯の両隣の歯が抜けた歯のスペースに動き、傾いてくる(隣接歯の傾斜)
両隣の歯が、歯がない方向に徐々に傾いてきて、長期間そのままにしていると、さらに隣の歯も
同じように傾いていきます。
③咬み合わせがおかしくなる(咬合の不調和・顎偏位症)
対合歯の挺出や隣接歯の傾斜により歯間の隙間が広がるので、よごれがたまりやすく虫歯や歯周病が
できやすい口内環境になります。
また、失った歯の周辺の残っている歯が移動することにより、咬み合わせのバランスが崩れてきます。
このように咬み合わせがずれることにより、顎関節症の原因となるリスクが高くなってくるのです。


①歯が抜けたままであることによって見た目が悪くなる(美観を損なう)
歯が抜けたままですと、見た目が悪いですし、他の人からの印象が悪くなります。
それを気にしてコンプレックスになり、人前で笑顔を見せる事や、人とのコミュニケーションを取らなくなってしまう
こともあるようです。
普段はあまり人の歯を意識してみない人でも、その人のお口の中に歯がなかったりすると、
すごく気になったりするものです。
それだけ、歯が口元、そして人に与える印象は大きいということです。
②歯の骨が溶けることによって、歯ぐきの位置が下がってくる(歯肉の退縮)
歯を失うと、歯ぐきが下がってきます。
しかし、これは歯ぐきが下がっているのではありません。
歯肉の中にある骨の量が少なくなるため、それにあわせて歯肉が小さくなったように見えるのです。
歯肉の退縮は、歯周病の進行でも起こります。
③顔の輪郭が変化してくる(顔貌の変化)
奥歯を失うと頬のラインや顎のラインが内側に寄ります。
また、歯を失って時間がたつと歯肉がやせるのでさらに頬がこけて見えたり顎がたるんで見えたり前歯の場合は口元に シワが寄りやすくなります。このように見た目の面からも抜いた歯を放置しておくということは大きなマイナスとなってしまうのです。


①きちんと咬めないことで胃腸に負担がかかる(咀嚼障害による胃腸への負担)
噛み合わせのバランスが崩れてしまったことによって、うまく噛みきれない・噛み砕けないといった状態が続くと
消化しにくい状態で食べ物が胃や腸に送られることになって、胃腸への負担が増加します。
また、うまく食事できないと唾液の分泌不足にもなるので消化の妨げになります。
それだけでなく、唾液は口の中をキレイにする自浄作用があります。
唾液の不足は口臭の原因となってしまう可能性もあります。
②上手く発音が出来なくなる(発音障害)
歯がない部分から息が漏れ、発音が不明瞭になってしまう場合もあります。
自分の話し方を気にして、人と話すことに消極的になってしまいます。
③脳への刺激減少
口の中は非常に多くの神経が通っている繊細な器官です。
咬むことで、脳に刺激が与えられるのですが、咬み合わせがずれることによって、この脳への刺激も減少することになってしまいます。